ヒザが痛い~変形性膝関節症について②
前回に引き続き「変形性膝関節症」をテーマに、今回は「変形性膝関節症」に対する治療等について書いていきます。
前回:https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/column/1432/
⇒変形性膝関節症の概要や症状について紹介しています。
変形性膝関節症の治療~保存療法
前回のコラムでも紹介しましたが、変形性膝関節症の原因の多くが加齢による退行性変化=軟骨の質の低下やヒザを支える筋力の低下に因るものです。まずは、痛みを軽減しながら、その変化の抑制を目標とする「保存療法」を行っていきます。
ヒザには体重の何倍もの力がかかっていますが、それを支えるのは太ももの筋肉です。まずはその筋肉が衰えないよう、該当する筋肉を鍛える運動を指導します(運動療法)。合わせて必要なのが、減量。この運動と減量を適切に行っていけば、症状の進行を大幅に抑制することができるほか、痛みが軽減する可能性もあります。
他には、ヒザへの負担を物理的に軽減させるためにサポーターなどの装具を使ったり(装具療法)、痛みや炎症を抑えるべくお薬を使ったり(薬物療法)、ホットパックなどの温熱療養や電気治療を行う(物理療法)こともあります。
これら保存療法でも症状の改善が得られず、日常生活にも支障が出てくるようであれば「手術療法」が考慮されます。
変形性膝関節症の治療~手術療法
変形性膝関節症の代表的な手術療法には、①骨切り術と②人工膝関節置換術があります。
①骨切り術は、変形してしまっているヒザを、骨を切るなどして“矯正(きょうせい)”=形状や負荷のバランスを整える手術です。
②人工膝関節置換術は、関節そのものを人工のものに置き換えてしまう手術です。
どの段階で手術を行うのか、どの手術を行うのかについては、進行の程度、年齢、筋力等々、多くのことを考慮しながら患者さんと一緒に決めていきます。
尚、いずれの手術も整形外科領域の中では一般的な手術で、長期的に安定した治療成績が報告されており、ご高齢の方でも痛み・機能が大幅に改善され、元気に歩けるようになった方が多くいらっしゃいます。
また当院では、手術後には回復期の病棟に移り、集中的にリハビリテーションを行うなど、より早く元の生活に戻れるよう、またより長く健康的なヒザでいられるよう、お手伝いさせて頂きます。
健康に、楽しく元気に過ごすために
日本人の寿命は延び続けていますが、その間、どれだけ楽しく元気に過ごせるかは、QOL(生活機能)をいかに維持できるか=いかに健康寿命を延ばすことができるかが重要です。そして、その大きなキーとなるのが、自分自身の脚でしっかり歩けるかどうかです。
前回の記事でもお伝えしましたが、症状が進行し運動能力が低下すると、転倒リスクが高まり、転倒→骨折→寝たきりや要介護の状態に→認知症が一気に進む、といった、非常によく見られるプロセスに陥り兼ねません。
どの疾病でも同じ、なるべく早くに診断し、なるべく早くに対策・治療していくことが大切です。ヒザに違和感があったり、不安なことがありましたら、一度整形外科を受診し、自分のヒザの状態をチェック頂けたらと思います。
監修:整形外科 寺井祐司
整形外科の診療スケジュール:https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/outpatient/schedule/
整形外科の紹介ページ:https://www.mihara-shiromachi-hp.or.jp/department/orthopedics/